私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.25

第47話「決意」/第48話「空我」

['01/1/16 last up date]


炎に包まれる人、街・・・ダグバが始めた「究極の闇」それはルールなき無差別大量殺人だっ た。アメイジングマイティフォーム(黒いライジングマイティフォーム)で戦うクウガだったが ダグバの前には力及ばず、被害者はすでに三万人を越していた。そして五代はダグバを倒すため 自ら「凄まじき戦士」になる決心をする・・・。

豪雨の中、BTCSを走らせる五代は恩師神崎先生を訪ね「 0号を倒したらしばらく冒険に行こう と思ってます」と明るい笑顔で告げる。五代の決心に気付いているのであろう神崎先生は「みん なの笑顔のためにな!」とサムズアップで五代を送り出す。次に科警研を訪れた五代は榎田と冴 (さゆる)の近況を聞いて安心したかのように去って行く。そして関東医大病院で椿から最後の 診察を受ける五代は再びダグバと戦う決意を告げる。それを受けた椿は「俺が世界でただ一人の かかりつけの医者だぞ」と念押しする事で「お前の後ろには俺たちがいる事を決して忘れるな」 と言いたかったのかも知れない。目を真っ赤にさせながらも涙を見せず兄を送り出すみのりっち は健気だし、五代を思いやり精一杯の笑顔で「行くんだね!」と叫ぶ桜子さんはとってもカッコ 良い。だが BTCSが去った後、雨で涙を隠して「窓の鍵、開けとくから・・・」とつぶやく桜子 さんはやっぱり女の子だった。

五代は、なってはいけない「凄まじき戦士」になりダグバと刺し違える決意をしたのだろう。 皆、そんな五代の悲壮な決意を全て受け入れた上で気づかない素振りで明るく振る舞う。いつも 以上に明るい五代の笑顔が見ていて痛々しい。そして、最後のお別れのつもりなのか 第0号を倒 したら皆の元へは帰らずそのまま冒険に行くと言う五代の言葉からは「死出の旅」と言う表現が 連想される。もしかしたら生きて帰れないかも知れない。否、アマダムから伸びた神経状の組織 に支配されつつある五代の身体は、最悪の場合「元の雄介」に戻れず「究極の闇をもたらす者」 になってしまうかも知れない危険性をはらんでいるのだから・・・。

第47話よりオープニングの歌詞が 1番に戻り映像が若干変った。これまでも時折マイナーチェ ンジはしていたがこれがいよいよラストストーリーなのだと思うと悲しさが押し寄せる。最初は ただの能天気兄ちゃんだと思った五代の笑顔が、今では見ているのが辛くなるほど痛々しく哀し い作品になってしまった。どしゃ降りの雨の中、惨殺された被害者に手向けられた花束を見つめ 立ちすくむ五代の姿は泣いているようにさえ見える。予算がかかり過ぎると反対する周囲を押し 切って散水車を使い豪雨の撮影を決行したのは高寺プロデューサーらしい。普通、プロデューサ ーの仕事はキャスティングと予算管理だと言うのにその管理者が予算オーバーしてどうする(^^; とは思うが、グロンギに殺害された全ての被害者の涙雨かと思われるような強い雨は五代や追い 詰められた市井の人々の心理を描くのには充分過ぎる。

九郎ヶ岳で待つダグバを追って雪の山中を五代のBTCS2000と一条が乗ったTRCS2000が並んで走 る描写は感動的。かつて一条の手から五代へ渡されたTRCSが一条の元へ帰る。それはみんなの笑 顔を守る責務がクウガから警察へと戻った事を意味するのかも知れない。そして一条に自分の運 命を託す五代。もしも自分が究極の闇をもたらす存在になってしまったらダグバとの戦いで傷つ きまだ完全に回復していないアマダムを狙って欲しい、と。一条ならばためらう事なく撃ってく れると信じている五代。自分がみんなの笑顔を守れなかった時は一条にその思いを引き継いで欲 しいと願っているのだろう。そして不器用で本当はシャイな一条が「こんな寄り道はさせたくな かった・・・」と初めて自分の気持ちを打ち明ける。それに対して「俺、良かったと思ってます。 だって一条さんに会えたから」と笑顔を向ける五代。ツートップと言われた五代と一条。二人は お互いに最高の相棒だったのかも知れない。

一条の見守る前で最後の変身をした五代は悪魔のごとき漆黒のクウガとなる。一方ダグバは神 のごとき白い姿で待ち受ける。あえて逆なイメージを抱かせるカラーで双方の存在を表現したの だろう。同じ「究極の力を持つ」二人は戦闘能力も同じであり、まるで合わせ鏡のように同じダ メージを受けると人間の姿に戻り「もっと僕を笑顔にしてよ」の言葉通り戦う事が楽しくて仕方 ないと言うようなダグバと顔を歪ませ半分泣きながら戦う五代が対照的に描写される。こうして ずっと五代は仮面の下で泣きながら戦って来たのだろうか。暴力描写が必要不可欠なヒーロー作 品で「暴力の否定」を視聴者にメッセージとして伝えるためにはこれしか方法がなかったのかも 知れない。だがダグバとの最後の対決は「ヒーローと怪人の派手な最終決戦」を期待していただ けに 素面でのドツキ合いにはいささか意気消沈。あれほど前振りが派手だった「究極の闇をも たらす存在」の二人の戦いがこんなに地味で良いのか・・・(^^;

一方、一条と 薔薇のTATTOの女の決着も実に地味であっけない幕切れとなる。その最期は一条 が撃ち込んだ神経断裂弾だったが、彼女は逃げもせず一条の弾丸をその身に受ける。これまで何 度も一条を殺すチャンスがあったのにも関わらずいつもそのまま去って行った 薔薇のTATTOの女 は、もしかしたら彼女もいつかダグバに抹殺される運命であり「リントの戦士」に倒される事を 願っていたのかも知れないと思わせる。

予告を見た瞬間「やられたっ!」と思った。完璧に お涙頂戴のシナリオである。「これまで の変身ヒーロー作品とは違う」と言い続け自負して来たであろうクウガのスタッフは最後の最後 に来て「クウガ」を見事に 青春ドラマに仕上げてくれてしまったのだ。もはやクウガは「変身 モノ」「特撮ヒーローモノ」と言うジャンルには収まらない。もちろん「仮面ライダー」ですら、 ない。「クウガ」と言う新しいジャンルを確立したのかも知れない。

ストーリー上は第48話がラストエピソードとなった形だが、ここまで来てもまだ明らかになっ ていない事がある。クウガとダグバの関係である。クウガとは一体何だったのか。そして五代の 運命は?次回の最終話「雄介」で全ての謎が解ける事を期待している。


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