私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.12
第21話「暗躍」/第22話「遊戯」
['00/7/19 last up date]
未確認生命体第3号こと コウモリ怪人が東京〜長野間を往復する。コウモリ怪人の謎の行動に 色めき立つ合同捜査本部。同じ頃「リント狩りのゲーム」と称して殺人を繰り返すカメレオン 怪人が都内に出現し一条たちを翻弄していた。周囲の色に同調して姿を消す(つまり、保護色だ ^^;)カメレオン怪人に超感覚を持つペガサ スフォームで挑むクウガ。他のフォームと違い全身の感覚が鋭くなる分戦闘能力が劣るため、第 8話での初登場以来出番がなかったが、特殊な状況下での 切り札的キャラクターとして使用さ れるのだろうと予想していたので都内に潜伏するカメレオン怪人とどのように戦うのか興味深い ものがあった。結果的には飛来したゴウラムに掴まりはるか上空(周囲の雑音に感覚が惑わされ 難い場所)からペガサスボウガンの一撃でカメレオン怪人を仕留める。その狙いは的確かつ鮮や かでまさに「ペガサスフォームらしい」戦い方である。ただ、残念な事にこのフォームに初期設 定されていた「精神力の強化」が上手く生かされていない(それがエピソードに反映する前にラ イジングフォームにパワーアップしてしまうようだし^^;)。作品設定がしっかりしているだけ にキャラクターの初期設定を生かしきれていないのは大変もったいない気がする。
クウガが怪人の能力に合わせ己の力を自在にコントロール出来るようになり、依然謎は残るも ののゴウラムとのコンビネーションも出来始めて準レギュラークラスのキャラクターも出揃い、 第16話までに張られていた伏線はこのエピソードで全て表面化された(私的には第17〜20話はイ レギュラーエピソードと位置づけている)。また、今回特に印象に残るのは グロンギ族の言動 の変化である。これまではグロンギ語とリント語を混ぜた会話で言葉の意味は何となく理解出来 たものの会話の内容つまり彼らの目的や行動パターン、序列などについては全く不明であった。 それらが少しづつではあるが表面化し始めて来た事もこのエピソードのポイントだろう。
狂暴なグロンギ族の荒くれ者共を取りまとめる薔薇のTATTOの女がイイ感じになって来た。ま るで場末のシャンソン歌手のような黒のロングドレスに赤いショールの冬衣裳よりもパールのネ ックレスをまとった夏衣裳の方が女王然としていて好印象。ただ、彼女のスタンスが今ひとつ明 確にならないのが惜しい。女性幹部なのか殺人ゲームを取り仕切る審判なのか。やはり 第0号の 謎と薔薇のTATTOの女の正体は作品を最後の最後まで引っ張る牽引力になるのだろう。
薔薇のTATTOの女を演じる七森美江は女優としての初仕事とは思えぬ程悪女役がはまっている。 それもただの「悪」ではなく、どこか毅然としたリンとした気高い目が良い。一説によるとグ ロンギ族の中にもメ、ズ、ゴなどの種族と言うよりも階級のような身分の区別があるらしい。も しグロンギの中に王族とか貴族のような身分階級があるとしたら 薔薇のTATTOの女はそういう高 い身分の女なのだろうか。
第22話での見所のひとつに一条刑事と薔薇のTATTOの女の対峙シーンがある。薄暗闇の中で光 る波、わずかな光が女の纏うサテンの白いドレスに反射しその照り返しで浮かび上がる無表情な 顔。例え一条が立ち向かったとしても圧倒的に彼女の方が強いはずなのに、幻覚作用のある薔薇 の花びらを浴びせただけで立ち去った女の行動、そして彼女が未確認生命体と知っていて拳銃を 向けたにも関わらず何故か撃たなかった(撃てなかった)一条の ためらいの態度にはある種の 伏線を感じる。
そしてコウモリ怪人を追うクウガの前にはバイクに乗った一人の男が立ちはだかる。エピソー ド中その存在はまだ謎のベールに包まれてはいるが、設定上では第6話でドラゴンフォームのク ウガに爆破されたバッタ怪人、ズ・バヅー・バの兄だと言う。キャラクターの人気が高くファン の要望に応えての再登場で造型もほとんど変わらないとの事だが、再生怪人ではなく肉親と言う 設定が生々しくてクウガらしい。ギノガのクローン再生は説得力があったが(何しろ元がキノコ だし ^^;)バッタ怪人の再生は理論的に無理がある。恐らくはその辺りも充分考証した上での設 定なのだろう。マフラーをなびかせてバイクで疾走するバッタ兄(^^;人間体はバヅーと同じ小川 信行が演じ、バヅーの持っていた一種のライバルキャラ的な存在感をグッと濃縮したような濃ゆ いキャラクター性を感じさせるなど、実に見所の多いエピソードに仕上がっている。
セミレギュラー陣の拡大と次々に登場する数々の謎が大河ドラマの様相を示して来たクウガ。 メカやキャラクターのひとつひとつにきちんと「存在意義」を持たせた上で登場させる丁寧な作 りは、放送が第2クール終盤に差し掛かっても「クウガ」の世界観が揺るがない事を示している。 11ヶ月の準備期間を経て制作に入った作品だけに、相当先まで様々な仕掛けが決まっているよう だ。「テコ入れ」の不安がない分だけ安心して観ていられるのはとても嬉しい。今後はこれまで の事件事象を伏線とし一層大きな謎と更に狂暴化したグロンギ族に挑んで行くのだろう。期待す る。
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