私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.20
第36話「錯綜」/第37話「接近」/第38話「変転」/第39話「強魔」
['00/11/16 last up date]
長野でクウガの謎を探る桜子さん、強酸性の体液で人間を溶かしてしまうサソリ怪人に立ち向 かうクウガと警察、何かを捜し求める様に次々と殺戮を繰り返すコウモリ怪人、と言うシチュエ イションが三次元同時にサスペンスタッチで展開しついに 4話連続と言う大掛かりなモノになっ てしまったエピソード。クウガの最大のライバルとも思われたバッタ怪人ゴ・バダー・バの封印を機に、それまで姿を 現わさなかった 第0号がズ族など下級グロンギの大量虐殺を始める。それは「血の粛清」とも言 える 第0号の価値観によるものだった。一方、クウガとの戦いに負けた事で殺人ゲームへの参加 権を与えられずただ下僕として 薔薇のTATTOの女への服従を強いられていたコウモリ怪人ズ・ゴ オマ・グは、長野で 第0号(=ダグバ)が手にしていたベルトの破片を密かに入手し自らを強化 すると、今まで虐げられて来た恨みを晴らすかのように自分の存在を誇示しダグバをおびき出そ うとする。それはダグバの手によって次々と殺されて行く仲間達を尻目に自分だけは生き残って やる、そのためにはダグバを殺らなければならない、と言う強烈な「生」への執着心が見える反 面、勝ち目のない戦いに自ら身を投じる姿には滅びの美学さえ感じさせる。
また、このエピソードにおいて 薔薇のTATTOの女と同じ階級と思われるグロンギが次々登場し 今まで指令者として君臨していた薔薇のTATTOの女が実は絶対支配者の第0号ではなかった事が明 らかになった。薔薇女は 第0号を「ダグバ=究極の闇をもたらす者」と表現し、更に「今度の クウガはダグバと等しくなるだろう」と予言する。そのダグバは自らが長野県九郎ヶ岳で蘇らせ たグロンギ200体のうち、クウガが封印したのが43体として、残り150体近くを始末している。そ の目的は一体何か。クウガ誕生の謎と共に今後大いに注目して行くポイントだろう。
今回最大の見所は何と言っても 薔薇のTATTOの女と一条刑事の対峙だろう。二人は過去に 2 度出遭っている。一条が長野で初めて彼女を目にした 第3話では現代に甦ったばかりの薔薇女は 野生的で粗野な印象があり、第21話で初めて正面切って対峙した時の女は最初よりも女王然とし ていて一条が威圧されていたが 3度目となる今回はその前後のシーンが霞んでしまう程に強烈な インパクトを残す。不気味な静寂を破って響くパンプスの音。一条刑事の足元から巻き上がる風。 荘厳なBGMと共にゆっくりと一条の前に現れる薔薇のTATTOの女。二人の間には天井のちぎれた配 線から火花が降り注ぐ。お互いの瞳に映る火花。ピンと張り詰めた空気の中睨み合う二人。短い シーンだがひとつひとつのカットがあまりにも美しく「ヒーローと敵幹部の対峙」としては過 去に例のない場面ではないだろうか。
そして薔薇女の攻撃を受け意識を失う一条刑事。徐々に遠のく意識の中で最後の最後まで薔薇 女を目で追うその姿はまるっきりヒーローのそれであった。「クウガ」が立ち上がった当初「ツ ートップ」と言われていた五代と一条。中盤に来て一条が完全にクウガのサポーターに徹してい たため忘れていたが、やはり「ツートップ」の設定は生きていた。このエピソードにおいてクウ ガは完全に「一条刑事にヒーローを取って代わられた」のである。
この4編、哀しいがクウガは全然カッコ良くなかった(^^; 争うコウモリ怪人とサソリ怪人の中 に割って入るも全く相手にされず、コウモリ怪人を追うカブトムシ怪人には無視され、挙げ句 の果てには投げ飛ばされたコウモリ怪人のあおりを食らってひっくり返るなど「ヒーローにあ るまじき場面」のオンパレード。その間に一条刑事と薔薇女のシーンが入り、結果的に「オイシ イ場面を持って行かれちゃった」のだ。
唯一 第39話でサソリ怪人を爆発させるため地下鉄線の資材置場まで運び爆発の影響を防ぐた めに次々と閉まって行くシャッターをビートゴウラムですり抜けて行く場面がスリルとスピード 感があって良かった。が、最後がイケなかった。一番最後のシャッターが閉まる寸前、ビートゴ ウラムを斜めに倒して(何と言う技か知らないが)間一髪すり抜けたクウガ。それが何とCG処理 されていたのだ。直前まで目一杯緊張感を張り詰めていただけにこれには激しい失望を禁じ得な かった。テクニック的な事は分からないので何とも言えないが、バイクの重量やバランス、危険 性を考慮してもこの場面は絶対に 実写でやるべきだったと思う。それでこそ、全然イイトコな し(^^;だったクウガの魅力が輝くはずだったのに。とても残念。
クウガが全くイイトコなしだった代わりに、一条を始めとするキャラクターの、それぞれが抱 える「五代に対する思い」がポイント的にインサートされ、エピソード後半は見応えあるドラマ に仕上がっている。「気ままな冒険がアイツ(五代)には似合う」負傷した一条刑事が椿医師に つぶやいた言葉である。またポレポレのマスターおやっさんも、突然冒険に出掛けなくなった五 代に思いを巡らし「アイツにはやっぱり冒険してて欲しいんだなぁ」と寂し気に語る。 1年間と 言う長丁場の作品もいよいよ佳境に入りこれまで張り巡らされた伏線が次々と表面化して来てい るが、今現在張られているのがクライマックスに向けての伏線と考えると、これらの台詞もクラ イマックスを示唆しているのかも知れない。もしそうだとすると「クウガ」のクライマックスは 五代の旅立ちで幕を閉じるのだろうか(しかしそれも安直な気が・・・^^;)。
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