私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.21
第40話「衝動」/第41話「抑制」
['00/12/3 last up date]
未確認生命体 第0号の動きがいよいよ活発になり各地で発見されたグロンギの死体はその数ゆ うに 160体を越えた。クウガが必死で戦っているグロンギたちをあっと言う間に始末してしまう 第0号に一条刑事たちの不安がつのる。一方、桜子さんは長野で見た「4本角の戦士の文字」を調 査した結果「戦士クウガ」とはグロンギの文字であり、それは 第0号自身の署名でもあったと五 代に伝える。また科警研の榎田はクウガが棒や拳銃をドラゴンロッドやペガサスボウガンに変え るメカニズムを分析し、グロンギにも同じ力があると思われると言う。五代はヤマアラシ怪人と 戦った際に 4本角の黒い戦士の姿を見たと語り、自分があと一歩の処で「凄まじき戦士」になり かけた事を知るが「それが分かったから、絶対にそうならない」と笑顔を向ける。「五代の笑顔てんこ盛りサービス中」ってな告知があるかと思う程(^^;久しぶりに全てをふっ きったようなくったくのない五代クンの笑顔が拝める。常に拳を使う事の意義を問いかけ、いつ か自分のものではなくなってしまうかも知れない身体に恐怖を感じながら戦い続けて来た五代が ここへ来て「正義の戦士」だと思っていたクウガが実はリント=人間よりもグロンギに近い存在 だと知り、それでも「リント=平和を好む種族 の心を持って戦う」事を誓って一種の 悟りを開 いたかのようにさえ見える。それほど五代の笑顔は清々しい。
エピソード全体に「本当の戦いとは拳を使う事ではなく、相手に間違ってるよと教えてあげる 事」だと言うメッセージが込められ、それは第35話から継続している事から「クウガ」と言う作 品の一貫したテーマである事が分かる。「人間ドラマ」として観た時「クウガ」は近年まれにみ る名作だと思うが、ヒーロー作品として絶対に見せなければならない「クウガのカッコ良さ」の 部分が欠落しているのが気になる。30分枠(実質的には20分程度)の中で両者のバランスを取る のは非常に難しい事であるとは思うが、敵の攻撃を受け 2時間変身不能になり、体力を回復させ る時間を使って家出した子(今回は奈々ちゃん)を探すと言う、すでにひとつのパターンと化し てしまったストーリー展開にはやや食傷気味。
またこれまで常々関係者が語って来た「作品の中で可能な限り嘘はつきたくない」との信念が 崩れて来ているのも気掛かりである。今回のエピソードについて挙げるとクライマックスのさん ふらわあ船上での戦闘シーンに矛盾が見える。サメ怪人ジャーザと戦うクウガはドラゴンフォー ムからタイタンフォームへと超変身するが、その時何故かタイタンソードを持っているのだ。そ れも2本も!「お、いつの間にか二刀流!」なんて感動していられない(^^; 映像で観た限りでは ジャーザの放った銛をドラゴンロッドへ変え、それを更にタイタンソードへと変形させて、二本 目は船のデッキの手すりを変形させたようだが、本来タイタンソードはBTCSのグリップ(ビート アクセラー)が変形する設定だったはずだ。それともクウガのパワーアップに伴い 何でもOKに なっていたのだろうか?(苦笑)
またクウガとジャーザの戦闘シーンが少なすぎるのも気になる。「ザギバス・ゲゲルに進むん だから、無駄な力は使いたくないの♪」とあれだけ自信満々でいたジャーザがあんなに簡単にや られてしまうのは納得が行かないし、ましてや水の中ではサメの能力を有するジャーザの方が圧 倒的に有利なはずで、重量のあるタイタンフォームではいくら水中でライジングフォームに変身 したとしても形勢不利ではないだろうか。それにしてはあまりにも決着が早すぎたのだ。
最近の「クウガ」はCG処理に頼り過ぎるきらいがある。変身や武器の変形などのシーンは完成 度も高いがアクションシーンのCGは緊張感を喪失させる一方だ。クウガとジャーザの「水落ち」 もイタダケない。動いている船から落ちるのは巻き込まれる恐れがあり危険だが、船体を撮らな くても船のデッキを模したセットを作り船体の高さを表現する事は可能だろう。 第1話でパトカ ーを突入させてガラス窓をぶち破ったり 第2話で教会の巨大セットを作り燃やしてしまったダイ ナミックさを思うと、予算の関係か時間の関係か(恐らくは後者)「本来なら出来るはずのセッ ト撮影を合成で済ませてしまう」事に哀しみさえ覚える。前回にも書いたが、アクションは危険 ではあるがギリギリまで「肉体で表現する」事に徹して欲しいと思う。私的には「クウガ」は人 間ドラマではなく、あくまでも「ヒーロードラマ」であって欲しいから。
このエピソードでおぼろげながらも姿を現わした第0号の人間体はどうやら美形のようだ(^^*) 五代、一条、椿とイイ男揃いの「クウガ」は「最後の駒」でまたしてもママ族のハートをガッチ リ掴む戦略らしい(爆)。この 第0号が行っている大量虐殺の理由はまだ謎だが、グロンギたち の会話(?)の中で、ジャーザ(人間体)の「ザギバス・ゲゲルに進むんだから♪」に対しカブ トムシ怪人が「ダグバと渡り合うのか」と問い掛けるシーンがある。ジャーザは「そして、どっ ちかとやり合う事になるかもね♪」と涼しい顔で答え去って行く。この会話から導き出される印 象は「下克上」 つまりリント殺害ゲームをクリアし最高権力者であるダグバを倒した者が次の 「究極の闇をもたらす者」になる資格を得る事が出来るのではないか、と言う仮説である。始め はリントを殺す目的で配下の怪人たちを大量に蘇らせたダグバは、だがやがて自らの座を脅かす 者たちの存在を知る。大量虐殺はそのための粛清ではないだろうか。
「クウガ」は一体どこへ行くのだろう。現在は最終エピソードのシナリオが練られている最中 だと聞く。ハッピーエンドで終わるのか、それとも・・・。これまでのヒーロー作品であれば、 主人公たちがどんなに苦境に陥っても「最後には必ず正義は勝つ」と信じられた。だが「クウガ」 に関してだけはどうしてもそう信じられない。それはクウガがどんなにグロンギ怪人たちを封印 しても「強いヒーロー」だと思えないからかも知れない。クウガは強くない、だがみんなの笑顔 を守るために必死で戦っている。もしかしたら本当に心に残るヒーローと言うのは、力が圧倒的 に強いだけではなく、脆くて弱い心を自覚しながら敵とそして自分自身と戦い続けるヒーローな のかも知れない。いや、私自身にトラウマのように残っているヒーローたちが、皆そういうタイ プだったからだけかも知れないが(苦笑)。
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