私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.22
第42話「戦争」/第43話「現実」
['01/1/8 last up date]
ゲームを始めたバッファロー怪人のハンマー攻撃に苦戦するクウガを一条刑事の放った一発の 筋肉弛緩弾が救う。自分と同じように変身を重ねる事で次第に強さを増して行くグロンギに「も っと強くならなければ」と思う五代。だがダグバの発する不気味な気配を感じペガサスフォーム に変身した五代はそのパワーをあっさり奪い取られてしまい呆然とする。一方、椿医師は 第0号に惨殺されたグロンギの人間体を解剖した結果、グロンギは人間とほぼ 同一の存在である事、彼らの腹部には五代のアマダムと同質の鉱石が埋め込まれている事を知り 五代の身を心配する。だが一条を始め桜子や榎田らが五代に絶大なる信頼を寄せ、アマダムは戦 うための力を生み出すがそれは使う側の意志によるものであり「五代クンは絶対に大丈夫」と宣 言されるに至って、自分も「五代の意志」を信じてみようと思う。
バッファロー怪人とクウガの戦闘は第42話の前半に凝縮され後半はフルートコンクール出場の ために上京した夏目実加と一条のふれあいを描いた文句なしの 一条刑事編。アクション監督の 金田治がメガホンを取っただけありクウガとバッファロー怪人とのアクションシーンは迫力満点 でBTCS2000も良く動いている。ゴ・バダー・バとの決戦以来、BTCS2000がどうも「五代運搬専門」 のマシンと化していて 宝の持ち腐れのような気がしていたので、久しぶりのバイクアクション は観ていて気持ちが良かった。また、誘拐犯人を逮捕する一条刑事の動きも派手で見応えがある。 恐らく五代が現れるまで一条はずっとこうして犯罪と戦って来たのだろう。だが今は必殺技を嬉 しそうに報告する五代に大マジメにツッコミ入れたり実加に花束を用意するなど一条も少しずつ 変わっている。厳しい任務の中で厳しい表情を続けていた一条に笑顔が戻りつつあった。それは 五代が彼に与えた影響なのだろう。
未確認生命体が出没しいつ我が身が殺されるやも知れない恐怖の時代であっても人間の犯罪は 続いている。殺人鬼がいるからと言って残りの人間が全て善人になってしまう事など有り得ない のだが、こういった作品ではどうしてもそういう「当たり前」の部分が忘れられがちになる。否、 忘れらているのではなく一種のタブーだったのかも知れない。それにあえてチャレンジしたこの エピソードは突如起こった企業社長誘拐拉致事件をキッカケに実加の目を通して人間の本質に鋭 く迫った問題作。
誘拐犯人は無愛想ながら実加が落とした父の形見のアクセサリーを拾って渡してくれるような 部分を持ち合わせた青年であり、一条もまたおまんじゅう好きと言うような庶民的な一面があり その笑顔を見た実加を驚かせる。そして実加にとって「優しい二人」が誘拐拉致犯と刑事として 互いに拳銃を向け合い格闘する様は衝撃的で、その一条の変貌に恐怖すら感じ「同じ人じゃない みたいで恐かった」と言う実加。だが「恐くて嫌だけど、それも一条さん」なのだと諭す五代。
バッファロー怪人に「これだけ強い拳があれば沢山の獲物を殺せるだろう」と挑発され振り上 げた拳にハッと自分を取り戻すクウガ。「もっと強くなってグロンギからみんなの笑顔を守りた い」と願う思いとややもすれば憎悪に支配された生物兵器になってしまいそうな危うい感情との 境界線で戦う五代にとって、人間ならば誰しもが持ち合わせている優しさと狂暴さと言う二面性 は受け止めなければならない「事実」なのだろう。
また、少しずつその姿を現わして来た第0号ダグバは一見すると優男風だがその姿からは想像 がつかない程狂暴な怪人体を持つ。その格差は、どこにでもいる優しいお兄ちゃんの五代と強い クウガに対する合わせ鏡のようであり一条の二面性は五代の 内面を、ダグバの二面性はクウガ の存在を現わしているようにも思える。
今この時点で一条刑事メインエピソードを入れたと言う事は、クウガと ダグバ=第0号の最終 決戦に向けてのお膳立てが全て整ったと見て良いだろう。「最強で最悪」と言われるアルティメ ットフォームはいつ、どんな形で現れるのか?その時、五代の体内にあるアマダムはどうなって しまうのか?今後の展開は全く予想がつかない状態だが、少なくとも「みんなの笑顔」で終わら せて欲しいとただ願うばかりである。
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