私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.3

第7話「傷心」/第8話「射手」

ペガサスフォーム登場編

['00/3/21 last up date]


6エピソード分を使い五代と一条刑事、桜子との人間関係を描いたドラマは、第7話より更に登 場人物を増やし一層複雑な人間模様を描き出して行く。だがそれははあくまでも一条刑事を含む 警察組織に絡む「人間関係」であるためドラマの構成が放映開始から 1ヶ月半を過ぎても尚「一 条刑事の目から見た事件」の域を出ないのが気にかかる。

第7話において、第1話でグロンギ族の墓石を開けてしまい復活した「未確認生命体第0号」に 惨殺された考古学者夏目教授の妻子が登場する。娘の実加は、通夜の席で泣き崩れるその姿を見 た五代が「クウガ」として戦う決意をしたきっかけになった少女である。一向に進まない捜査に 苛立ちを隠せず警察に不信感を募らせる家族、捜査の進行状況を遺族に説明する義務を持たない 警察と言う「被害者の家族と警察の関係」は現実の問題でもあるが、そう言ったデリケートな問 題をこのドラマに持ち込む事にはいささか抵抗を感じざるを得ない。

「仮面ライダークウガ」は 「刑事ドラマのテイストを含んだ特撮ヒーロー作品」であるべ きだ。あくまでも主人公はクウガ=五代雄介のはずなのにその印象が薄いのは警察の内部事情を 描く事にウェイトが置かれ過ぎているからで、このまま「警察組織の描写」が続く限り「一条の 目から見た事件」と言う視点は変わらないだろう。一条刑事は五代を自分の立ち回り先に連れて 行く事によって「関係者」として周囲に認知させようとしている向きがあるが、これは一歩間違 えると警察組織にクウガを抱き込む結果となり全くの本末転倒になってしまう恐れがある。

クウガが警察からの情報や協力を得て怪人を倒すのは良いのだが、一条刑事を「クウガをバッ クアップする存在」として描かないのは何故だろう。私は当初一条刑事を「仮面ライダー」にお ける滝和也のような存在と認識していたが、どうもそうではなく五代と一条刑事は 「二人でワ ンセット」 にされているような気がしてならない。「二枚目の生身キャラと二枚目半の変身ヒ ーロー」と言う構図は「アイアンキング」をほうふつさせるし(苦笑)。

一条刑事と桜子はそれぞれの周囲を取り巻く人間関係も描かれその「人間性」を浮き上がらせ て来ているにも関わらず未だ五代雄介の性格だけが見えて来ない。様々な資料を読む限りは「見 た目と違ってしっかりした性格」として設定されているはずなのにそれがなかなか描写されない。 表面に出て来ない「裏」を読む事は簡単だが、そろそろ画的にもきちんと「キャラの打ち出し」 をした方が良いのではないかと思う。だが現段階では全くその気配がなく、ますます 「自己顕 示欲の強いお気楽野郎」のイメージを植え付けるかのような描写が続いて行く。

例えば「クウガ」のマーク(古代文字)が余程気に入ったらしい五代はバイクにペイントする わ(第5話)自分のベストに刺繍するわ(第7話)やりたい放題。「ヒーローはその正体を他人 に知られてはならない」と言うセオリーを捨ててるのは良〜く分かるが、正体を知らないおやっ さんに向かって「(俺)クウガ」はないだろう(苦笑)。こう言う表現をされると「やっぱりた だの能天気兄ちゃんなのか」と疑ってしまう(爆)。

また第8話では父の死の哀しみと周囲の大人への反発から失踪した実加、そんな彼女と心を通 わす五代、と言う五代のキャラクターを打ち出すうってつけのシチュエイションがあったにも関 わらず、やっぱりオイシイ「絵になるシーン」は一条刑事に持って行く脚本は完璧に狙っている としか思えない。何しろ一条刑事の描かれ方がカッコ良すぎる。「ヒーローの定番」と言えるよ うな見慣れた演技ではあるが、五代がかっ飛んでいるだけに一条刑事の「当たり前のヒーローら しさ」が安心感を与える。ヒーローっぽいキャラクターが変身せずヒーローらしくないキャラク ターが変身する 逆転現象は見ている側のストレスを増加させる。一刻も早い五代雄介のヒーロ ー性確立を強く望む。

「クウガ」の良い部分は ナレーションを使わない事。子供番組はキャラクターの心理描写や 行動をナレーション説明で補いがちだ。勿論、小さいお子さんに理解させるために必要な手法で はあるが、それが時に「ドラマ進行上の矛盾をカバーするため」に利用されたりもする。「クウ ガ」にはその傾向が見られない。きちんと映像で見せ台詞でつないで行く(それも説明調のモノ ローグ等を使わない処が好ましい)。だがそのためにどうしてもドラマ進行のテンポが遅くなる。 お子様番組特有のアップテンポに慣れてしまっている目にはかったるく映るだろう。

また、いくらストーリーをきちんと見せるとは言っても変身時間が余りにも短か過ぎる事も気 になる。その分ドラマの時間が長いのは嬉しいが、これでは視聴メインターゲットのお子さんは 満足しないのではないか。これまでタブーとされて来た事柄に果敢にチャレンジする前向きな姿 勢は高く評価出来るが、やはり「仮面ライダークウガ」とタイトル付けしてしまった以上はその 「名前」に縛られざるを得ない 宿命の作品であるのだから「変身ヒーロー作品」と言うスタン スだけはきっちりと守って欲しい。

特に第8話のクライマックスは「クウガ」が好きでどんな酷評を目にしてもその意識を変えな かった私ですら軽い失望を感じた。空飛ぶハチ怪人VS飛び道具での、余りにもあっけない決着。 全身の感覚が敏感になり全神経を一気に集中させるため過大な疲労を伴うペガサスフォームは、 その変身時間はわずか50秒と短い。今後は恐らく「最後の切り札」的に使われると思うが、使い 方を誤るととてもつまらないキャラクターになってしまう。他のフォームとの明確な描き分けが 必要だろう。


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