私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.4

第9話「兄弟」/第10話「熾烈」

タイタンフォーム登場編

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第 9〜10話では五代みのりの心の葛藤を軸にクウガ最終フォーム(タイタンフォーム)登場を 絡めた五代雄介編

「未確認生命体 第4号」に懐疑的なマスコミやクウガの活躍を他人事のように論じる人々に心 を痛めるみのりは、それ以上に戦う事、敵を殺す事に対し何の抵抗も感じなくなってしまったの ではと兄の心の崩壊を心配する。そんな妹の心配をよそにクウガ(自分)のグラビアを見て「良 く撮れてる♪」と喜ぶ五代はやっぱりネジが一本飛んでいるとしか思えない(爆)。相変わら ず呑気だ。

そして、妹の心配通り「戦闘慣れ」した五代は 第9話でいきなり変身ポーズまでカッコ良く なってしまった。軽く膝を曲げて重心を落とし、腰を安定させての変身ポーズは「これぞまさ しく仮面ライダーだあ〜っ!」と思わせるデキ。 Vol.1でも書いたが、「変身ポーズ」は戦士と しての自信、主役を張る役者としての自信が一番出る部分である。マイティフォームへ変身後の アクションもアカ抜けしてカッコ良くなったが、あまりの変わり様に思わず唖然としたのも事実 (苦笑)。

この他にも「今までの五代雄介とは違うゾ」と感じさせるシーンが多い。例えば埠頭で一条刑 事と話をしている場面ではレンガの塀の上に座っている姿がとても自然で、一条刑事との関係が フィフティ・フィフティ になった事を思わせる画になっている。またイカ怪人を倒すためにク ウガの「剣を使うタイプ」が有効と気付いた五代は一条刑事に剣道の特訓を受ける。最初は一条 刑事の激しい攻撃に防御で精一杯の五代だったがその中で「相手の攻撃を受けながらギリギリま で追い詰め一気に反撃に出る」決心をする。こういった「戦闘方法の試行錯誤」などはこれまで の五代には見られなかった性格描写だ。このシーンでも、一条刑事の面を受けながらじりじりと 前進する五代と、面を撃ち続けながらも困惑する一条刑事と言う描写をする事で、二人の関係の 主導権が一条刑事から五代にシフトした事が分かる。

そんな時、みのりが急に訪ねて来る。普通ではない様子の妹をいぶかる五代だったが彼女がず っと心に秘めていた言葉を聞いた五代は「俺だって恐いよ」と本音を吐く。桜子や一条刑事には 「やりたいからやる」「だって、俺、クウガだもん」「俺しかないならやるしかない」と強がり そして真実そう思ってはいても、繰り返される戦いの中で怪人の狂暴さと規模が分かって来ると 同時に恐さを感じるのは当然であろう。だが五代は、それでもやるのだとみのりに決心を打ち明 ける。そして「どうして?」と問う妹に誘導尋問する。「お前はどうして先生やってるんだ?誰 かの笑顔のためじゃないのか?」と。

「俺は俺の場所でお前はお前の場所でやってるってだけさ」と何気なくさらりと言ってのける 五代は力まず自然体で、それでいてとってもカッコイイ。そしてクライマックスで「壮絶なまで にイカ怪人に向かって行くクウガ」と「子供たちと遊ぶみのり先生」の画が交互に挿入された演 出は五代の台詞を見事に反映させ、人は皆「誰かの笑顔のため」に戦っているのだと強く印象付 ける(幼児教育だって立派な「戦い」だ。人様のお子さんを預かるのだから)。繰り返し襲って 来る爆発の中、身じろぎもせずイカ怪人に向かうクウガ。肉を斬らせて骨を断つ 捨て身の戦法 は鬼気迫るものがあり超カッコ良かった。

これまで常に五代をリードしていた感のある一条刑事だが、このエピソードから「一条刑事の 目から見た」構成が「五代雄介から見た」構成へと見事にシフトし、五代を「特訓」したり捜査 から知り得た怪人の弱点を情報として与えるなど サポートキャラクターとしてのポジションが 明確にされた。またこれまでは必ず一条刑事の見守る前での決戦だったが(一条刑事が気絶して いた 第2話は除く)イカ怪人との決戦は初めて「一条刑事がいない場所」だった事も特筆すべき 事だろう。それでは何故、今まで一条刑事は五代と行動を共にしていたのだろう。

そもそも五代が変身したキッカケは一条刑事が遺跡からの出土品を安易に桜子に預けてしまっ たための偶然の産物である。一条刑事は「一般人の五代を事件に巻き込み、あまつさえ変身させ てしまった責任」を痛切に感じているのだろう。もしかしたら「自分が変身すれば良かった」と さえ思っているかも知れない。彼はそれくらいの責任感を使命感を持ち合わせている ヒーロー 以上にヒーロー精神旺盛なキャラクターだ。ましてや、自分が所属している警察組織は「クウ ガ=未確認生命体 第4号」を依然として信用していない。いつ射殺命令が下されるかも分からな い。クウガを守る事は一条刑事の義務なのだ。少なくとも自分が側に居れば射殺は避けられる。 一条刑事が常に五代と行動を共にするのは、五代を守るためだったのかも知れない。

10エピソード分を使い構築した五代と一条刑事の関係を維持したまま、違和感を感じさせる事 なく「一条離れ」させた第9〜10話は五代雄介の魅力が爆発した文句なしの五代雄介メインエ ピソードに仕上がっている。


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