私的「仮面ライダークウガ」論 Vol.8

第17話「臨戦」

総集編

['00/5/25 last up date]


ストーリーが存在しないエピソード。未確認生命体第25号トラ怪人が出没しそれに戦いを挑む クウガを見せつつ「何故彼は戦うようになったのか」と問いかけながらこれまでの戦歴を振り返 る総集編。

正直言って、突然登場したナレーターに対する強烈な違和感に戸惑った。これまで作品中では ナレーションを挿入された事がなかったため画面からナレーターの声が浮いてしまったように( つまり副音声のように)感じたのだ。同じナレーションなら、五代雄介がクウガに変身する事に なった経緯や警察の内部事情を全て知っている一条刑事にモノローグ的に語らせる方式を取った 方が自然だったのではないかと思うのだが。

確かに最初の頃に見損ねた視聴者にとってダイジェスト版はありがたい。だが本来こう言った 形は、近年ヒーロークラブ等から出ているオリジナルビデオでやるべきではないのか。 4ヶ月を かけて築き上げて来た「クウガ」と言う作品の世界観に水を差されたように感じてしまったのは 私だけであろうか。

ダイジェストの放送がいつ頃に決定したのかは分からないが、うがった見方をすれば、製作ス ケジュールが詰まったためのつなぎにする苦肉の策とも取れなくはない。また、作品の方向性を 変えたりテコ入れをするきっかけになるとも考えられる。つまり、今までの「クウガ」の雰囲気 に馴染んでいた私にはとても不安感をかき立てられてしまう構成だったのである。

五代は戦闘後のきりっとした表情のアップが増えどんどんカッコ良くなって行く一方、以前の ように明るく能天気な破顔一笑が現れなくなって来ている。いつ果てるともなく続く激しい戦い に身を投じている事が五代の笑顔を陰らせているのだろうか。だが、それでは当初求められてい た五代雄介のキャラクター性はどこへ行ってしまったのか。呑気でお気楽野郎だけどポジティブ で、何事にもくじけず立ち向かって行く精神力の強さを持ち合わせながらも自然体。そんなキャ ラクターだからこそクールでヒーロー然とした一条刑事との差別化に成功したのだろう。ヒーロ ーとしてキメる時はきっちりキメる。それはもちろん必要かつ重要なポイントだが、戦いの後に はやはり見ている側に ホッとさせる瞬間が欲しい。それが今「クウガ」と言う作品に求められ ている事だろうし、それがあってこそ初めて「五代雄介」と言うキャラクターが生きて来るので はないだろうか。

今後はこれまでの歴代ライダーを含めた多くの東映ヒーロー達の誰とも違う「オダギリジョー のヒーロー像」を構築して欲しいと思う。オダギリの持つ 不思議な魅力を引き出せるのは決し て「端正な表情のアップ」だけではないはずだから。


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